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全国的な最強寒波ということで、
僕の住む愛媛も例外なくたくさん雪が降りました。

地元のニュースによると、
「これだけ降り積もるのは8年ぶり」だと
聞いて思い出したことがあります。

僕の人生が大きく変わりはじめた日の事です。

実は8年前のちょうど今頃、僕は人生最悪の時期で
「どうせこのままつまらない一生を送るくらいなら、
失敗しても構わないから一か八か起業しよう」と決めた頃でした。

その事を知り合いに相談したところ、
その人のつながりでちょうどショップをオープンさせたところで、
お店の二階を間借りさせてくれるという話をもらいました。

今の僕ならまず乗らない話ですが
当時、仕入れ資金も15万ほどしかなく、
とにかく「人生を変えたい」と思っていた状態だったので、
すぐにでも紹介して欲しい!と半ば強引すぎるくらいに
アポを取ってもらいました。

それから数日後、
間借りをさせてもらえるかもしれない人との
初顔合わせの日が来ました。

その日はとても寒く、
夜には雪が降るかもしれないというような日でした。

仕事を終え、自宅へ帰ってシャワーを浴びて
自分の中で一番いい服を選びました。

「今日の顔合わせで変な印象を持たれると、
この話はなくなってしまうかもしれない…」
と、
とにかく気合いだけは入っていたのを覚えています。

今思うとものすごくダサい格好でしたが、
当時の僕は真剣そのものです。

「ちょっと勝負しに行ってくる・・・」
妻と生まれたばかりの子供に言い残して出掛けました。

待ち合わせの場所までは車で一時間くらいの距離でした。
そこまでのルートは山道か海沿いの二通りです。

そこで僕は「もしも、遅刻してはいけない」からと、
早く着く山道のルートを選びました。

その山道に近づくにつれて、
月明かりに照らされた道路がキラキラと光り、
今日はなんだかいつもより道がキレイだなと思っていました。

その時はそれが「危険を表す警告」ということに
気がつきもしませんでした。

登り坂に差しかかる頃、少し飛ばし気味で車を走らせていると、
突然、僕の走っている車線へ対向車がセンターラインを割り、
突っ込んで来たのです!

!!

僕は慌ててブレーキを思いっきり踏み込みました!
しかし、なぜかブレーキは効くことなく、
ハンドルも取られ、まるで何かに引き寄せられるように
ガードレールへと向かいます。

「もうだめだ!ぶつかる!」と、
もう無我夢中でハンドルとブレーキを必死に動かしますが、
ほとんど減速することなく、ガードレールにガツンと当たって
なんとか車は止まりました。

急いで車から降りてガードレールの向こう側をのぞくと、
そこは底が見えないくらい深い崖でした。

反対車線では坂の勢いで減速しきれない後続車が
次々とスリップして、あちこちにぶつかっていました。

道路を見ると、表面に霜のようなものがビッシリと付着していました。
そこではじめて「凍結」の恐ろしさを知ったのです。

「もうこれ以上、進むと今度こそ命が危ない…」と
身の危険を感じた僕は来た道をゆっくりと引き返す事にしました。

先方に遅れる旨を伝えて遠回りの海側からルートに変更し、
再び車を走らせました。

海側の道は凍結もなくスムーズに走る事ができました。
結局、目的地には一時間以上の遅刻となりましたが、
なんとかたどり着く事ができました。

待ち合わせをした場所で待っていたのは、
とてもきれいでスラリとした長身の女の人でした。

挨拶も早々に済ませ、
必死に今の現状や起業に対する思いを熱弁しました。

「絶対に迷惑をかけるような事をしないので、
間借りさせてください!」

その結果・・・
家賃や光熱費は全て折半という条件で
OKの約束をしてもらいました。

帰り道、なんとも言えない高揚感に包まれながら
「これで絶対、人生変えてやる!」と
何度も何度も心の中で繰り返し運転をしました。

もしもあの時、運悪くガードレールを突き破り、
車ごと谷底にでも落ちていれば、恐らく今の僕はいないでしょう。
人生っていつ何が起きるかわからないものですね。

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